涌谷町立資料館

宮城の博物館*涌谷町立資料館に行ってきた

最近興味を持っている蝦夷(えみし)について調べている中で、東北が金の産地であったということを知りました。そういえば、中尊寺の金色堂で有名な平泉も、東北の地でした。この地で栄華を誇った奥州藤原氏。マルコポーロが東方見聞録で紹介した「黄金の国ジパング」。歴史の授業でインプットされていたワードたちが、十数年経ってここで「金」の一文字で繋がりました笑。

ここで繋がったのも何かのお導きということで、日本で初めて金が産出した町、宮城県の涌谷町へ。町の資料館と、まさに金が採れた場所、黄金山神社と天平ろまん館、そしてこの資料館で初めて知った追戸横穴墓群に行ってきました。

場所は、宮城県遠田郡涌谷町(とおだぐんわくやちょう)。仙台から車で約1時間ぐらいです。三陸自動車道で松島北ICまで行き、そこから国道346号線で。途中、「明治潜穴」という気になるスポットを通り過ぎ(帰りに結局寄りました)、しばらくすると道の両側一帯にぶわ~~っと広がる水田が。しかもこの日は、長引く梅雨の期間中にも関わらず、夏のようなスカッとした青空と威勢の良い雲たちも浮いていて、叫んでしまいたいほど気持ちいいお天気。

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空が広いよ~~~。

涌谷城跡に建てられた涌谷町立資料館

町に近づき川を渡ると、なにやら丘の上にかわいらしい天守閣が。地図で見ると、あそこが資料館の場所らしい。お城まで続く川沿いの土手道にも、お城風の壁が続いていてなんだか凝っています。ちなみに、当時実際にはこのお城に天守はなかったそうです。これまでいろんなお城に行ってきましたが、天守閣を資料館にしてるお城って、結構あります。

橋から涌谷城

あ、あそこに天守閣が!

土手から涌谷城

近づいてきた、近づいてきた。ここの脇の壁、瓦までのってて凝ってる

無料駐車場に車を止めて、いざ資料館へ。この涌谷城は、さきほど渡ってきた江合川と背後の小高い丘の間にある長細い敷地につくられた平山城のようです。なので、とても眺めがいい。見渡す限りの緑と空色!

涌谷資料館への道

植樹や歩道もきれいに整備されています。

涌谷城から江合川

右手に見える江合川と涌谷町市街地。

さてさて入口を入るとすぐにあるのが、こちらのビデオコーナー。受付から係のおじさまが、「あちらでどうぞビデオをご覧ください」と、スイッチオン。

涌谷町立資料館 ビデオコーナー

涌谷町の歴史を学びましょう(12分間)

それにしても画面、ちっちゃっ笑。ブラウン管テレビでしょうか。このちょっと丸みを帯びた画面が懐かしい。今では大画面の薄型テレビに慣れてしまったので、むしろ斬新のような気さえしてきます笑。なんだかこれだけで微笑ましくなってしまいました。大きな立派な国立博物館のようなところも好きですが、町で運営している小さな資料館というのも、こういう思わぬ味わいがあるところに心をくすぐられます。この画面の前におもむろにパイプいすが2脚だけ並べられ、そこにちょこんと座ってビデオを見る自分の姿も笑えてくる。

涌谷町立資料館 館内

館内はこんな感じです。展示物も解説もほどよく。

やはり今回も他の人たちはいないなぁと思っていたら、なにやら大学生ぐらいの若いカップルが。「なんて、いい趣味をしていらっしゃる!」と感激したのもつかの間、先日行った胆沢城跡でもお会いした、ポケモンGOのプレーヤーさんたちでした笑。なにやらこの建物の中にもモンスターがいたのか、何かがあったのか、きちんと料金を払って入場していました。

私はあまり、街中や電車内でゲームをする人たちの風景が好きではないのですが、こういう風に普段だったら来ないような人たちが訪れてくる仕掛けというのは、単純にすごいなと感心してしまいました。場合によっては、そのモンスターなのか何かをそこで見つけて用が終わればすぐにその場を立ち去ってしまうこともあると思いますが、このカップルさんたちは一通り展示物も、さーっとではありましたが、見ていってました。当初の目的は別のことであっても、今まで行ったこともなかったところに出向き、知らなかったものに触れられるきっかけになるというのは、プレーヤーさん側にとっても、集客したい方たち側にとっても、メリットがあるなと傍から見ながら思いました。

と、なんだか資料館とも涌谷町とも関係ない話にそれてしまいましたので笑、それでは、ここからはざっくりと展示物のご紹介を。念のため係のおじさまには「写真撮影OK」の旨、確認して撮っています。

縄文時代の涌谷

【縄文時代】宮城県には、こんなにたくさんの貝塚があったんですね

涌谷の土器

東北にある博物館・資料館には、たいていその地の縄文時代の出土品が遺ってます。すごい。

天平産金

【古代】縄文の暮らしが営まれていたところに、大和朝廷による中央集権の手が。この頃、金が産出したことによって、さらに朝廷は東北の地を欲しくなる。

追戸横穴墓群

産金に関わった人たちのお墓ではないかとの推測。それにしても、古墳ではなく、横穴。面白い!しかも見学できるのか、行かねば!

横穴墓群の模型

なんだかピラミッドの内部みたい。棺があったところが朱塗りになっているのは、興味深い。

涌谷伊達氏の遺品

【江戸時代】もちろん、このお城の城主、涌谷伊達氏の遺品がいくつも展示されています。

そして2階、3階へと上がっていきます。

涌谷町資料館

2階から3階へあがる階段。3階は展望室になっています。

涌谷町資料館 展望室

他のお城と違って、こちらは外に出て眺められません。柵がはまった窓越しに。春には桜が雲海さながらに見られるそう。

涌谷町立資料館 展望室

川の向こうは、むかし城下町があったあたりです。

元々、日本初の産金地ということで訪れてみた涌谷町でしたが、こちらの資料館に来て、江戸時代に涌谷城というお城や城下町があったということや、伊達氏とつながりのある涌谷伊達氏がこの地を治めていたということを知りました。縄文時代、奈良・平安時代、鎌倉・室町時代、江戸時代と、これまでの自分の知識の引き出しに入っていた出来事や人物と少しまた繋がりました。

そしてこのあと、黄金山神社と天平ろまん館へ。

!新たに開いた知の扉!

今回、こちらで開いた知の扉はこちらです。

  • 涌谷伊達氏がこの地に入るまでに、さまざまな人たちがこの地を治めてきていたこと
  • 柵戸(さくこ)という人たち
  • 涌谷伊達氏の系譜。ルーツは現在の千葉県にいた豪族。
  • 追戸横穴墓群というのが近くにあるということ

涌谷町立資料館について

今回、他のところにもまわる予定だっため、涌谷城内をゆっくり散策することができませんでした・・悲。なので、この涌谷城についてわかりやすくまとめられているサイトをこちらでご紹介します。

東北城郭魂 お城についてのデータが、お城ごとに一通り見やすくまとめられています。本丸跡や涌谷神社など、敷地内の写真もあってイメージしやすいです。
iemo 涌谷のさくらまつりについて。様々な場所で撮影された桜と城郭の写真は見ごたえあります。夜桜のライトアップも美しい。さくらまつりの二大イベント、「東北輓馬競技会」と「夜桜花火大会」は、写真を見ると行きたくなってしまいます。

そしてさいごに、この資料館についての情報が公式ページではあまり詳しく紹介されていなかったので、パンフレットからの抜粋にてご紹介させていただきます。

桜の季節に来てみたかったです。

======以下、パンフレットからの抜粋======

涌谷町立資料館のある城山公園は、江戸時代、22,640石を治めた伊達の一門「涌谷伊達氏」の居館跡。「涌谷要害」と呼ばれ、地域の社会・文化・経済の要の地でありました。

伊達安芸宗重公(4代館主)は、「陸奥守の御為」と政治のあり方を幕府に訴え、凶刃にたおれた「伊達騒動(寛文事件)」の中心人物として知られています。

城山公園は、現在、染井吉野やしだれ桜、山桜などが競って咲く桜の名所として知られ、夜桜や江合川の川面に映る桜並木など、春の散策も十分に楽しめます。

また、伊達安芸宗重公を祀る涌谷神社をはじめ、「涌谷伊達家墓所」や涌谷伊達家の氏神を祀る「妙見宮」など、周辺には数多くの歴史遺産が点在しており、「奥州わくや」の歴史の深さを十分ご堪能いただけます。

施設名 涌谷町立資料館
URL http://www.smt.jp/lifestudy/institution/shousai/h_73.html
住  所 宮城県遠田郡涌谷町涌谷下町3-2 MAP
アクセス JR石巻線 涌谷駅から徒歩13分 約1.0km
営業時間 9:00~16:00 ※4~11月のみ
休  館 毎週水曜(祝日の場合は翌日)
料  金 一般・大学生 210円 高校生 160円
小中学生 100円
駐車場 無料駐車場 あり
観覧時間目安 20分
(うしじま観覧時間:40分)