宮城の博物館*地底の森ミュージアムに行ってきた

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なんだこれは?!

初めてこの「地底の森ミュージアム」の存在を知ったのは、仙台市内の駅構内に貼ってあった1枚のポスター。そこに写っていたどこか異星の景色のような写真と、さらに「地底」なんていう、これまた異空間感を漂わすワードにそそられ、思わず見入ってしまいました。

ということで、いざ地底の森ミュージアムへ。

 

マンションが立ち並ぶ住宅地の中に、突如として佇むコンクリートの建造物となだらかな丘。平日の昼間ということもあって人の気配もほとんどなく、のんびり見られそうだなぁとワクワクしながら建物の中へ。入口の階段を下りていく時、その無機質なコンクリートの壁からホワンホワンと何か宇宙的な(笑)音が響いてきて、未知なる空間へ突入していくかのように、好奇心が更に掻き立てられます。

入口を入ると、なんだかむわっとした湿度を感じました。そしてその湿気の中に、植物園の温室の中で感じる土のような植物のような有機的なにおいも。さきほどの音といい、この湿気といい、こういう五感への働きかけというのは、自然の多い場所に行けばごく普通のことだし、そこにいる時は「あ~、心地いい~」と素直に体が受け入れるのだけれど、こういう人工的で無機的な空間にそういうものが存在すると、その異変性が際立つのか、強烈に自分の五感を刺激してくるようです。ということで、まだ見えない、だけどこの先に確実にいるであろう、「地底の森」の気配を肌で感じながら、更に積み増された好奇心を携えて一歩一歩進んでいきました。

・ ・ ・ ・ ・ !!!

目の前に突然現れた、例の遺跡。写真で事前に見てはいたけれど、生のそれの迫力はやっぱりすごかった。ものとしてのインパクトもすごいけれど、これが2万年も前のものだという意識で見ると、なんだかもうよくわからない気分です。今2016年を生きる私には、100年前のものも、1,000年前のものも、10,000年前のものも、「今もこの場所に存在していて、そこに一緒にいる」こと自体が奇跡です。

でも、2万年前というと、学校の授業で教わったホモ・サピエンスの時代です。

猿から人間へ。人間というものがぽっとあるとき突然発生したのではなく、徐々にその姿かたち、脳の働きや行動が変わってきていた頃のことです。 ラスコーの洞窟だとか、ナウマンゾウだとか、同じぐらいずっと昔の遺跡や化石というのは他にも色々あって、そういうものがさして珍しくもないと感覚がマヒしつつありましたが、この目の前にあるものと自分との間に流れてきた時間というものを考えると。。。

ところで、こういう博物館や史跡などに行くといらっしゃるボランティアガイドの方たち。私はこの方たちがいる場合には率先してガイドをお願いしてます笑。同じものを観るにしても、そのものにまつわる情報があるかないかで伝わってくるもの、そこから広がるイメージ、感情移入ぐあいが全く変わりますし、今まで全然関係ないところのこととストックされていた自分の中にあった別の情報と繋がることがあったりするからです。それに、このおじさまたち(圧倒的におばさまよりおじさまの方が多い)、まるで自分の子供の自慢をするように、本当に楽しそうに嬉しそうに色々知っていることを教えてくれるので、聞いているこちらも「うん、うん、それでそれで??」と目をキラキラさせて聞きたくなるのです。

で、ここでも早速ガイドのおじさまに。

  • なぜこの遺跡は、この状態を保って遺れたのか
  • その理由とも関わるこの地の特性。「富沢」という地名の意味
  • よくある遺跡は屋外のままだが、この遺跡が屋内にある理由

などなど、「へぇ~~」と一人で何度もつぶやいていました。また、レーザーポインターを使って、「あそこにあるのは鹿のフンだよ」などとも教えてくれました。

「ふ~ん、鹿のフンね」と、動物園にいる鹿のフンでも眺めるように、自分の中でさらっと流れていきかけた時、

「えっ、この時から鹿っていただんだ!」

と時間差で、その事実の衝撃がやってきました。人間が猿から変化しつつあったころ、既に鹿なる動物は存在していて、今でも同類の動物が存在しているということ。変わるものもあれば、変わらないもの(もしくは変わっていないように見えるもの)もある。環境、そこに存在しているもの、ヒトの活動は全く変わっているのに、そのままでいるもの。自分が当時のこの場にタイプスリップしたのか、この目の前のものが現代にタイプスリップしてきたのか、なんだか不思議な感覚でした。

遺されたものたち、痕跡が今に教える当時の様子

この遺跡のある部屋の奥の方で、10分ほどのスライドが上映されるとのことなのでそちら側へ移動。なにやら、当時のこのあたりの様子、そこでの人たちの営みを復元した映像とのこと。そこにあった椅子に腰かけていたら、周りが暗くなってスクリーンが降りてきました。こういう何かが始まる前の感じ、すごく好きです。ちなみに、こちらのスライド、10分上映・10分休憩のサイクルで1時間に3回、上映されています。

地底の森01_

どんな内容かはぜひ実物を笑。

 

ここに来てこの遺跡が面白いなと思ったのは、この不思議な空間ということだけでなく、そもそもそれが屋内の中にあり、しかも地下にあるということ。ここの壁面に実際の地上の位置が記されていましたが、今自分が立っているところから約5mほども上の場所です。それぐらい見上げるところからこの深さまでよくぞ掘ったなぁというか、よく見つけたなと。つまりこの5mの間に、2万年間の地層が堆積していたんですよねぇ。

なんで、そんなに地上が高くなるの??

なんてことも考えていたら、地上階にある常設展示室でその答えや、さきほどのスライドで復元されていた当時の様子がどのように明らかになったのかの謎解きの様子が展示されていました。

どこの博物館でも、たいてい「当時はこうでした」という事実だけが展示されていたりしますが、ここの展示が面白いなと思ったのは、たき火の周りに飛び散っていた石のかけらの分布からどういう役割の人がそこで何をしていたかとか、その石のかけらたち(ほんっとに小さなカスみたいな破片まで!)を接合して元の石の状態からどうやってその石器をつくったとか、それは何用に使っていたかとか。「こういう点からこう推察すると、このように考えられる」と、考古学者の方たちの頭の中を公開してくれているような、なんだか推理ドラマの終盤の謎解きのシーンを見せてくれるような展示がされている点でした。なので、

「ふ~ん。へぇ、そうなんだぁ」ではなく、「なるほど!だからか!」

と、ちょっと自分も賢くなったような気にさせてくれました。

 

施設名 地底の森ミュージアム
URL http://www.city.sendai.jp/kyouiku/chiteinomori/index.html
住  所 宮城県仙台市太白区長町南4-3-1
アクセス 地下鉄長町南駅西1番・西2番出口より
西方へ徒歩約5分
営業時間 午前9時~午後4時45分
休  館 月曜日、毎月第4木曜日、年末年始
料  金 一般 400円 高校生200円
小中学生100円
観覧時間目安  30分~1時間
(うしじま観覧時間:2時間)

※展示の点数自体はそれほど多くないので、目を通すだけであればすぐ見られます。

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